さらに通常「敵の敵は味方」理論では3者までしか考慮されませんが、研究では4者を超えたより大きな連合にまで適応できることが示されました。
つまり「敵の敵は味方」ならばその味方の敵(4者目)も自分にとっても敵であることが理論上でも成り立っていたのです。
なのでかかわる人(ノード)数に従って理論を正確に名付けなおすならば「敵の敵(味方)の敵は敵」理論となるでしょう。
これまで「敵の敵は味方」理論は、人間関係を単純化した言葉として誤解されていました。
既存の研究が失敗してきた原因も、単純化したものという誤解が背景にあったと言えるでしょう。
しかし実際の「敵の敵は味方」という言葉は、人間関係の多様性や知識の限界など複雑な要因を加味した場合にのみ機能する理論だったのです。
このようなノード間の複雑な相互作用を正しく理解する研究がもたらす恩恵は人間関係に留まらず、ネットワークの奥深さを解き明かす鍵になり得ます。
たとえばニューロンの活性化と抑制化のモデルを考える際や、病気を治すための薬の組み合わせ、さらに現状ブラックボックスとなっているニューラルネットワークの解読といった問題にも役立つでしょう。
研究者たちは今回の研究で得られたモデルを人間関係だけでなく、その他のネットワークにも当てはめられるかを確かめていくと述べています。
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参考文献
Physics confirms that the enemy of your enemy is, indeed, your friend
https://news.northwestern.edu/stories/2024/05/physics-confirms-that-the-enemy-of-your-enemy-is-indeed-your-friend/?fj=1
元論文
Proper network randomization is key to assessing social balance
https://doi.org/10.1126/sciadv.adj0104