一方でJリーグは、国内はもちろん、海外(主に東南アジア諸国)向けにおいて、より魅力的なコンテンツを提供しファン層を拡大していく必要に迫られている。既に日本は人口減社会に突入し、内需拡大が見込めないとあればなおさらだ。
このような状況を打破し、Jリーグを世界で戦えるリーグへと押し上げるために浮上したのがプレミアリーグ構想と考えるならば、その主な目的は以下の通りだ。
- 競技レベルの向上:より厳選されたクラブによるハイレベルなリーグを形成することで、選手個々の能力向上とチーム戦術の高度化を促進する。
- 国際競争力の強化:ACL(AFCチャンピオンズリーグ)などの国際大会で上位に進出し、Jリーグのブランド価値を高める。
- 収益力の向上と経営安定化:リーグ全体の価値向上による放映権料やスポンサー収入の増加を目指し、各クラブの経営基盤を強化する。
- 魅力的なエンターテインメントの提供:質の高い試合を安定的に提供し、既存ファンの満足度向上と新規ファンの獲得を図る。
- 日本サッカー全体の底上げ:トップリーグの活性化が、J2、J3といった下位リーグや育成にも波及効果をもたらすことを期待できる。

なぜプレミアリーグ構想が進まないか
ではなぜこのJリーグプレミアリーグ構想が進まないか。まず前提として、意図的に「ビッグクラブ」を作り資金力のないクラブが排除されることになるのは明らかであり、現在J1に属する20クラブの合意形成が非常に難しいのではないか。
そもそも、イングランドで1992年にプレミアリーグが創設されたきっかけは、当時、放映権契約を結んでいたBBCとITVとの間でカルテルが結ばれていたことが発覚し、また放映権料の分配もリーグ全92チームに均等に行われていたため、人気・実力両面でリーグを引っ張っていた当時の「ビッグ5」(リバプール、マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、トッテナム・ホットスパー、エバートン)が不公平感を抱き、リーグ脱退をチラつかせた上で、カルテルの廃止と放映権料の増収を図らせたことが引き金だった。