ところが、英語表現ではapple cheeksとは言わずに、apple cheeked boyという表現になる。しかしそうすると、この表記は「りんごのような丸いほっぺの男の子」になってしまうのである。
英語ではappleがシンボルとして表わすのは「球や丸」という形であり、どうしても日本語の「りんごのほっぺ」にこだわるのであれば、apple-red cheeksやrosy cheeksとなるようである。
フランス語でも同じ「球や丸」
英語のappleのシンボルが「球や丸」だと分かったので、念のためにフランス語でも調べたら、joue pomme(ほっぺ りんご) とはいわず、英語と同じくcomme une pomme(りんごのような)は色ではなく、丸い「形」をさす言葉として用いられていた。
ただし日本文化ではほっぺに「ばら色」を用いないが、英語と同じくフランス語でもjoues roses(ばら色のほっぺ)と表現する。だから、comme une roseは日本語訳では「りんごのような真っ赤な色」としてもいいが、 pommeにはリンゴとともにジャガイモの意味もあり、これがシンボルとして表わすのは「球や丸」なのであった。そのため簡単な単語の意味と翻訳にも、外国語学習の際には気を付けておきたいと話していた。
「特殊講義」のテーマを15年かけて単著にする
第Ⅱ部の都市の社会構造論、内発的地域発展と活性化の問題、子育て共同参画社会、都市化の音楽社会学などについてはここでは詳述しない。なぜなら、この時点では北大15年間で関心をもってきた「特殊講義」のテーマに過ぎなかったが、それから15年後の定年退職までに、それぞれを1冊ずつの研究書に膨らませることができたからである。
すなわち、「都市の社会構造論」は『コミュニティの創造的探求』(新曜社、2011)、「内発的地域発展と活性化の問題」は『「地方創生と消滅」の社会学』(ミネルヴァ書房、2016)、「高齢社会と老人医療費」は『日本のアクティブエイジング』(北海道大学出版会、2014)、「子育て共同参画社会」は『日本の子育て共同参画社会』(ミネルヴァ書房、2016)、「都市化の音楽社会学」が『ミネルヴァ日本評伝選 吉田正』(ミネルヴァ書房、2010)となったのである。