研究分野においてライトトラップは、昼行性よりも夜行性の昆虫に有効であり、小型の蛾より大型の蛾のほうを集めやすいこと、さらにメスよりもオスのほうを捕らえやすいことがわかっています。
またこの特性は害虫駆除器などにも利用されています。
コンビニなどのお店の前に設置された、紫色の光(短波光)を発する害虫駆除器が、バチッという音をたてて虫たちを焼き殺す様子をみたことがある人もいるでしょう。
しかしここ最近になって、奇妙な変化がみられるようになってきました。
研究者や昆虫保護活動家などの複数の調査により、ライトトラップによって捕獲される虫たちの数が過去に比べて急激に減ってきたと報告されていたのです。
そこで今回、ハーバード大学の研究者たちは複数の罠を組合わせることで、虫たちと光の間にどんな変化が起きているかを調べることにしました。
調査にあたっては米国の農場で収集されてきた、アメリカタバコガ(Helicoverpa zea)のデータが使われました。
アメリカタバコガはコーンイヤーワームとも呼ばれる蛾の一種であり、農場にとって深刻な害虫となっています。
そのため農場ではアメリカタバコガの数を記録し、管理してきたのです。
なかでもデラウェア州の記録は最長で25年前にまで遡っていました。
蛾の捕獲に用いられていた方法は、メスの発するフェロモンとライトトラップの両方を駆使したものでした。
研究者たちが、これら長期的なデータを分析すると、非常に驚くべき結果がみえてきました。
