その後、2022年にはアルビレックス新潟バルセロナで、2023年には当時J3のいわてグルージャ盛岡で1試合限定で現役復帰し、話題となった。

中田英寿氏:日本文化の伝承
元選手で、引退後にサッカー界を離れ成功を収めた第一人者は、元日本代表MF中田英寿氏だろう。2006年のFIFAワールドカップ(W杯)ドイツ大会後に電撃的に引退すると、“旅人”として国内外に出たり、財団や会社を設立して社会貢献活動や日本文化の伝承に携わっている。
特には、日本酒の魅力を発信するために2015年に「JAPAN CRAFT SAKE COMPANY」を設立。自身のブランドを活用した活動を展開している。

セカンドキャリアは多くの選手にとって大きな課題
前述の元選手は多様な分野で新たなキャリアを築き輝き続けているが、引退後のセカンドキャリアは多くの選手にとって大きな課題だ。プロの世界は競争が厳しく、戦力外通告を受けた選手や怪我で引退を余儀なくされる選手も少なくない。サッカーに関わるキャリアは限られたポジションしかなく、すべての選手が好きな道に進めるわけではない。
一般企業への就職は大きな挑戦だ。プロのアスリートとしての経歴は、努力や忍耐力を示す強みだが、ビジネス経験の不足や社会人としてのスキルの不足が障壁となる。
例えば、大分トリニータや北海道コンサドーレ札幌で活躍したFW内村圭宏氏は、2020年にFC今治から戦力外通告を受けた後、IT企業に転職しITエンジニアになった。今治に在籍していた2019年から「娯楽がなく暇だった」という理由でIT関連の本を読み漁っていたことが、2021年公開のインタビュー記事で明かされている。
名古屋グランパス(2009-2017)などで活躍し、2022年に当時J2の栃木SCで引退した磯村亮太氏は、自身のnoteで「プロ選手の経歴が日本社会で十分に評価されない現実」を指摘。大学卒業後にJリーガーとして3年間プレーした選手が、大学4年生のサッカー部員よりも就職が厳しいと述べた。