ゴールデンレコードに込められた地球の息吹
では、このゴールデンレコードには具体的に何が収められているのだろうか。まず音声は、約90分間にわたる世界各国の音楽だ。バッハやベートーヴェンといったクラシックの名曲から、ペルーやアゼルバイジャンの民族音楽、日本の尺八の音色、さらにはチャック・ベリーのロックンロールまで、まさに多種多様。そして、古代メソポタミアで使われたアッカド語から現代中国の呉語まで、55の言語による「こんにちは」という短い挨拶も収録されている。
画像はアナログ形式で116枚。DNAの二重らせん構造や人体の解剖図といった科学的なものから、人々が食事をする様子、働く姿、そして新しい命が誕生する瞬間まで、地球上の生命の営みが切り取られている。建築物や農耕の風景、道具の写真、さらには数式や化学構造式といった人類の知の断片も含まれる。弦楽四重奏団が演奏している一枚もあるというから、選考チームのセンスと苦労が偲ばれる。
さらに、「地球の音」として、波の音、風の音、雷鳴、鳥のさえずり、人々の足音、心臓の鼓動、笑い声、そして愛を伝えるキス音までが、連続した音の風景として収められている。当時のアメリカ大統領ジミー・カーター氏からのメッセージも印象的だ。「これは、小さな、遠い世界からの贈り物であり、私たちの音、科学、イメージ、音楽、思想、そして感情の証です。私たちは、あなた方の時代まで生きられるように、私たちの時代を生き残ろうと努めています」。当時の国連事務総長クルト・ヴァルトハイム氏からの挨拶も添えられている。

(画像=舐める、食べる、飲む仕草を写し、人間の食事の方法を表したもの 画像は「Wikipedia」より,『TOCANA』より 引用)

(画像=アイザック・ニュートンの『自然哲学の数学的諸原理』第三巻 画像は「Wikipedia」より,『TOCANA』より 引用)