審査が順調に進めば、2026年中にも米国でAD109が市販薬として登場する可能性があります。
もし実現すれば、睡眠時無呼吸症候群の治療は大きな転換点を迎えるでしょう。
患者は機械に縛られずに済み、医師は「この患者さんには減量薬、こちらの患者さんには筋肉刺激薬」といった具合に、原因に応じた治療を選択できるようになります。
睡眠医学の専門家は「今回の成果は睡眠医療の新たな夜明けであり、シンプルな経口薬で人々に酸素と活力ある睡眠を取り戻させるという長年の夢が現実に近づいた」と述べています。
今後の追試験や規制当局の判断に注目が集まりますが、いびきに苦しむ世界中の人々に朗報を届ける日はそう遠くないかもしれません。
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参考文献
Apnimed Announces Positive Topline Results in the First Landmark Phase 3 Clinical Trial of AD109, an Investigational Once-Daily Oral Pill for Obstructive Sleep Apnea
https://apnimed.com/article/ad109phase3toplineresults/
元論文
The Combination of Aroxybutynin and Atomoxetine in the Treatment of Obstructive Sleep Apnea (MARIPOSA): A Randomized Controlled Trial
https://doi.org/10.1164/rccm.202306-1036OC
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。