百年構想は、クラブに「地域密着」を強く求める。例えば、ホームタウンの名前をクラブ名に取り入れるルールを必須とし、クラブに対しても地域イベントへの積極的な参加が推奨されている。これにより、クラブは単なるスポーツチームではなく、地域のシンボルとして機能することを目指す。

2014年にJ3リーグとのタイトルパートナー契約が始まった明治安田生命は、現在Jリーグの全60クラブと個別にスポンサー契約を結び、地域社会の活性化を支援する「シャレン(社会連携)活動」など、この理念に共鳴し後押ししている。


鹿島アントラーズ 写真:Getty Images

鹿島アントラーズ「勝利への執念」「地域との共生」

オリジナル10の1つである鹿島アントラーズは、茨城県鹿嶋市をホームタウンとする名門クラブだ。しかし、Jリーグ発足時の10クラブ選定を前に川淵氏から「99.9999%無理」と言われ、前身である住友金属サッカー部のJリーグ参入を諦めさせるために出された「1万5000人収容の屋根付きサッカー専用スタジアムの建設」の条件を実現させ、JSL(日本サッカーリーグ)2部から唯一のJリーグ参入を決めた。

1993年のJリーグ開幕戦で、MFジーコのハットトリックとFWアルシンドの2ゴールで名古屋グランパスエイトを5-0で破ると、その勢いで1993ファーストステージ(サントリーシリーズ)を制してみせた鹿島。その後も強豪として君臨し、J史上2クラブ(もう1つは横浜F・マリノス)しかない「J2降格経験無し」を貫く。リーグ優勝8回、ヤマザキナビスコ杯(現ルヴァン杯)優勝6回、天皇杯優勝5回、ACL(AFCチャンピオンズリーグ)優勝1回を誇る。

鹿島のアイデンティティーは「勝利への執念」と「地域との共生」の両立だ。ホームスタジアムの県立カシマサッカースタジアムは、山と海に囲まれたロケーションだが、試合日には赤いユニフォームのサポーターで埋め尽くされる。