そもそも進水式の方法には、造船台に乗ったままドックに水を注入して進水式とする「ドック進水」と、造船台から進水台を滑り水面に入水する「船台進水」がある。
このうち、造船台から進水台を滑り水面へと入る進水式の場合、通常は船側または船尾から水に入る。横方向に進水する方法は、横方向進水工法と言い、従来の縦方向進水に比べて、ドックの設置やメンテナンスコストを削減し、スペースの有効活用を図ることができる。ただし、横方向進水工法は、進水作業中に大きな重量の船体を水中に滑走させるため、急激な応力がかかり、事故のリスクが伴う。
進水作業は一度きりの作業であり、事前の計画や準備が不十分であると、船体や人命に重大な影響を及ぼす可能性がある。特に、進水時の不具合や予期しない事態が発生すると、船体の損傷や作業員の安全に関わることがある。
建造していた清津造船所は、元々、民間の船舶を建造する施設で、軍艦の建造は初めてで、大型艦の横方向進水工法にも知識・経験が不足していた。また、現在の清津造船所では、損傷した駆逐艦の修復に必要な設備がなく、技術も不足しており、修復には今後、数ヵ月以上の時間が必要とも推測されている。
北朝鮮に対抗する日米韓のスクラム
米韓両国は、これまで戦争抑止策として「北朝鮮のミサイル発射の兆候を察知次第、先制攻撃および報復する」という戦略を立ててきた。しかし、大量のドローンと共に海上、海中、地上から同時多発的にミサイルを発射する、いわゆる「飽和攻撃」を仕掛けられた場合、韓国の防空網では対処が困難だという懸念がある。
北朝鮮が地上のミサイル基地や移動式発射台(TEL、ミサイルを移動してそのまま発射可能)に加え、水上艦艇や潜水艦など、米・韓国軍が探知しにくいミサイル発射手段を増強する中、韓国の「キルチェーン」(戦闘において、目標を識別し、追跡し、攻撃し、破壊するための一連の段階的なプロセスのこと)が無力化されるのではないかという危機感が一層、高まっている。