崔賢の特徴は、前甲板に127ミリ主砲、砲塔と艦橋付近に2ヵ所74基のミサイル垂直発射装置(VLS)があることだろう。そして随所にロシアからの技術移転による兵器システムが見られる。朝鮮中央通信によれば、「崔賢」の初の兵器システムの試験が4月28、29の両日に行われ、28日に、超音速巡航ミサイルと戦略巡航ミサイル、対空ミサイルの試験発射と127ミリ艦上自動砲の試験射撃が行われたという。
ただし、衛星写真によれば、式典のわずか数日後に同艦がタグボートでドックへと戻される様子が映っていたことから、まだ自力で航行できない可能性があり、完全な形で配備されるのにはまだかなりの時間がかかりそうだ。
新型艦が進水式で破損
そうした中、5月21日には、北朝鮮の咸鏡北道清津市(ハムギョンブクト・チョンジンシ)の造船所で、新たな5,000トン級のミサイル駆逐艦の進水式が行われた。先の新型駆逐艦「崔賢(チェヒョン)」 と同級と推定されており、北朝鮮海軍は、今後、これら2隻を含む同型艦4隻を建造し、東海艦隊、西海艦隊に配備するものとみられる。
ところが、この進水式で、新型艦の船尾が想定より早く水中に入り、船体の一部が破損して、船首が船台に残ったままになり、転覆状態となった。事件を目の当たりにした金正恩氏は、進水の失敗を「犯罪行為」と糾弾し、複数の国家機関による「完全な不注意」並びに「無責任」が原因だと非難した。そこには朝鮮労働党軍需工業部や金策工業総合大学(キムチェク)、国家科学院力学研究所、中央船舶設計研究所、清津造船所など軍事関係の主要機関が含まれている。
金正恩氏が、さらに多くの駆逐艦、巡洋艦、フリゲート艦を建造する意欲を表明していた矢先のことで、金正恩氏のみならず、北朝鮮にとっても大きな痛手となっただろう。
軍艦の建造経験がなかった清津造船所
朝鮮中央通信は、清津造船所の事故について「打ち上げプロセス中に重大な事故が発生した。経験不足の指揮と運用上の過失により、船尾部分の発射ソリが時期尚早に外れて座礁につながり、一部のセクションでの船体破損により船のバランスが崩れ、船首部分が発射プラットフォームから外れなかった」と報道した。