とくに先行研究は主に西欧諸国で限られたサンプルで実施されていたため、より多様で大規模なサンプルによる高検証力の研究が求められていたのです。

SM好きはメンタル最強? 2,000人調査で判明

SM実践者の一般的なイメージと研究によって明らかになった実際の様子
SM実践者の一般的なイメージと研究によって明らかになった実際の様子 / SM実践者の一般イメージと実際は大きく乖離しています/Credit:Oscar Lecuona et al . Journal of Homosexuality (2024)

研究チームはまずオンライン募集により、スペイン国内の18〜68歳の成人1,907名を集めました(最終有効回答は1,884名)。

参加者はSNSや成人向けグッズ企業のニュースレターなどを通じて募られ、約6割(60%)が「現在BDSMを実践している(あるいは過去に実践経験がある)」と自己申告し、残り4割が「BDSM未経験者」でした。

性別は女性が58%、男性35%、トランスジェンダー/ノンバイナリー等が6%と比較的多様で、性的指向も約53%がLGBTQIA+(主にバイセクシュアル・パンセクシュアル)と、半数以上がいわゆる性的マイノリティに該当していました。

年齢層は中央値が28歳と若めながら、18歳から68歳まで幅広く含まれています。

なおBDSM実践者の内訳を見ると、服従側(サブミッシブ:M側)役が約45%と最多で、スイッチ(27%)、支配側(ドミナント:S側)役(25%)の順でした。

これはBDSMコミュニティ内でも服従願望を持つ人が比較的多いことを示唆しています。

全参加者はビッグファイブ性格検査(外向性・協調性・誠実性・神経症傾向・開放性)や成人の愛着スタイル、拒絶感受性、主観的幸福感(ウェルビーイング)に関する標準化された質問票に回答しました。

BDSM実践者にはそれに加えて、自分のBDSMにおける主な役割(ドミナント/サブミッシブ/スイッチ)やプレイ内容の指向(トップ=加虐志向/ボトム=被虐志向/スイッチ)、そしてBDSM経験の頻度や年数といった項目も尋ねています。