B(病院施設・入院入所)は医学系専門家に、C(在宅要介護)は社会福祉の専門家に任せて、マジョリティであるHを引き受けたのである。
研究テーマも「高齢者のライフスタイルと生きがい」に絞り込んで、インタビュー調査による記録作成と調査票を配布して、その有効回収データを計量的に分析する方法を使い分けた。
日本一長寿の要因
合同研究の成果は多岐にわたるが、簡単にまとめると、沖縄と長野の「日本一長寿」には
精神的健康・・・・・・自立心と前向きな姿勢、生きがいとなる活動の実践 身体的健康・・・・・・日常活動能力に優れている、健康な身体の形成 社会的健康・・・・・・家族・親族との強いつながり、地域における日々の活発な交流
などが相乗作用していると結論した(長寿社会開発センター編、1997)。
沖縄県の特徴
ただし、沖縄県では「家族との団欒」、「孫と遊ぶ」、別居しても子供夫婦が徒歩圏内に住んでいる比率が高いために「自転車に乗る」などのライフタイルが目立った。沖縄県では、全島に鉄道がないこともあり、バスとクルマに加えて、「自転車」が重要な役割を果していた。
長野県の特徴
一方長野県では、それら以外にも「仕事をしている」、「旅行をする」、「新聞、雑誌を読む」などの割合が多く出た。
リンゴやブドウに代表される果樹園で健康が許す限り「仕事をする」高齢男女が多かった。果樹の現状のチェック、薬剤散布、下草刈り、収穫などの作業で、ほぼ毎日坂道を長く歩くことなどが、精神的、身体的、社会的な「健康」づくりに貢献していた。
食事を一緒に楽しむ
社交性はともに十分認められたが、どちらでも食事を友人・仲間や家族・親族・近隣の身近な人々と一緒に楽しむ姿がみられた。もちろんこの事実は沖縄県や長野県の高齢者だけに認められるのではない。私もそれをテーマにして、北海道余市町で調査を始めていた。