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新ローマ教皇選挙(コンクラーベ)のニュースが盛り上がる中、4月30日付の「現代ビジネス」に川口マーン恵美さんが寄稿された記事「ローマ教皇死去のウラで~いまドイツで起きている『キリスト教の崩壊』と『西洋の敗北』」を読んでいて、これは!と思い当たることがあった。

同記事の論点は近年のドイツ社会における移民イスラム教徒の跋扈と、その背景にあるキリスト教の衰退、その代替物としての左翼政治イデオロギーの躍進であり、それはそれでとても説得力がある論説なのだが、そこに筆者の興味を引く記述があった。

「ドイツでの住民票はキリスト教徒であるかどうかを書き入れなくてはならず、キリスト教徒と書くと、税務署が所得税と共に自動的に宗教税を差っ引くので、それが嫌さに、正式に「脱キリスト教」する人も後を絶たない。脱キリスト教すると、結婚式も子供の洗礼もやってもらえないが、それでもいいということだ。」

ドイツに宗教税があるということを知らなかったので早速調べてみたのだが、確かに「教会税(Kirkeskat= Church tax)」が存在していた(ドイツのみならず、オーストリア、スイス、スェーデン、デンマーク、フィンランドにも同様の教会税制度があるようである)。ここでいう教会税の定義は、公的法人であるキリスト教会が、その経費を賄うために国家の承認の下でその構成員に対して一律に課す税金ということである。