つぎに研究チームは、交尾ごっこ遊びにおけるオス同士の「連携プレー」に注目しました。

ミナミハンドウイルカが大人になって本番の交尾を試みるとき、オス同士は2~3頭が協力してメスにアプローチすることが知られています。

この交尾のときに協力するオス同士の関係は「同盟」と呼ばれ、この同盟を形成できるかどうかが、交尾が成功するかどうかを大きく左右します。

イルカのオスは仲間の恋愛をサポートするヒト以外で最大の「陽キャグループ」を作っていた!

オスからしたら、同盟を組むことになるであろう将来の仲間と、交尾ごっこにて連係プレーを磨くことで、将来の繁殖成功度が向上すると考えられそうです。

チームは「親密なオス同士ほど、連係プレーをとる」ことを明らかとし、オスは将来の同盟相手と交尾のテクニックを磨いているという仮説を支持しました。

親密なオス同士ほど、連係プレーをとる
親密なオス同士ほど、連係プレーをとる / credit: 海の仲間たち、イラストAC、近本賢司

最後に、チームは「若いころに交尾ごっこのオス役をしていた時間が長いオスほど、オトナになってからたくさんのメスとの交尾に成功している」ことを明らかとし、若いころに遊ぶことにはたしかにオトナになってから役立つことを実証しました。

若い頃に遊んだオスのイルカほど、大人になってメスとの交尾に成功していた
若い頃に遊んだオスのイルカほど、大人になってメスとの交尾に成功していた / credit: 海の仲間たち、イラストAC、近本賢司

私たち人間は、遊びを通じて、人生を全うするのに必要な、コミュニケーション能力や社会性を培うとされています。

また、私たちと同じ社会生活を営む哺乳類にとっても、遊ぶことが他者との関係を築いたり、大人になってから必要なスキルの習得に重要な役割を果たすようです。

社会で暮らすことを選んだ哺乳類たちは、他者と共に生きていくために、遊ぶという行動を今もなお続けているのでしょう。

遊びが大事なことはわかりましたが、だからといって「若者よ、机になど向かっていないでもっと遊べ」といっているわけではありません。