さらに、評論家の佐藤優氏は、2021年の立憲民主党と共産党との選挙協力に関して、「それによって当選した人は自ら共産党の政策を忖度して共産党寄りになっていく」ことの危険性を指摘している(「正論」2021年7月号)。「言論の自由」に関しても共産党寄りにならないか懸念されるのであり、少なくとも「共産党批判」は一切できなくなるであろう。

「言論の自由」に対する共産党への重大な懸念

以上の通り、1976年には「自由と民主主義の宣言」をした共産党であるが、同党が「暴力革命」(敵の出方論)と「プロレタリアート独裁」(共産党一党独裁)を核心とする共産主義のイデオロギーであるマルクス・レーニン主義(「科学的社会主義」)を完全に放棄し、社会民主主義政党に生まれ変わらない限りは、前記の旧ソ連や中国、北朝鮮の状況を見ても、日本共産党が将来政権を獲得した場合に、現在の日本において国民が生命の危険なく自民党政権及び石破首相を自由に批判できるのと同じように、国民が生命の危険なく共産党政権及び最高権力者を自由に批判できるかどうかについて重大な懸念がある。

共産党の「言論の自由」抑圧の事例は上記立花隆氏のほかに、近年の党中央に対し党首の多選を批判し「党首公選制」を主張した有力共産党員に対する除名問題がある。

共産党の党内における「言論の自由」抑圧は、政権を獲得した場合は党内だけにはとどまらず、国民全般及び国政全般にも波及することは不可避である。なぜなら党中央に対する批判を許さない共産党の体質そのものの問題だからである。

このように「言論の自由」は理論的にも歴史的にも共産党・共産主義の最大の問題であることに日本国民は注意を怠ってはならないのである。