「日本の年金はダメだ」という声も多いが、アメリカや欧州諸国でも、年金制度の持続可能性と高齢者の経済的自立のために、労働期間の延長が進められていることがデータから明らかになっている。
もう時代は変わったと受け入れ、一生働く前提で人生設計をする必要があるだろう。
令和からの新たなキャリア戦略
今後の時代、これまでのように「仕事=やりがい」「安定企業で働く」という考え方を見直すべきだろう。
どれほどの大企業でも、国際競争やAIの台頭によるゲームチェンジの影響で倒産する可能性は出てくる。そうなれば、安定企業にしがみついて働くよりも、「いつ勤務先が倒産しても働き口に困らない労働市場価値を維持する」という思考が機能する。
つまり、平成時代までの「就社」(特定の会社に所属し続けること)ではなく、真の意味で「就職」(市場で求められるスキルを持って仕事に就くこと)という考え方で働くべきだ。そう考えると、最近流行りの「静かな退職」や「上司選択制度」は、一社が長く存続することを前提とした「就社」の考え方であり、非常にリスキーになり得ると言える。
しかし、悪いことばかりではない。市場価値が高い人材は、これまで以上に高収入・高待遇を享受できる可能性が高まる。常に大きな時代の変化の中には、大きなチャンスが眠っているのだ。
どこへ行っても役に立つ高付加価値スキル、生成AIを使いこなす高い生産性、そして利他意識を前提としたビジネスマインドを持っている人材は希少だ。さらに今後、労働人口が減少することで、そうした人材はこれまで以上に引く手あまたになるだろう。
加えて、労働生産性が高まり、雇用も流動的になれば、「複数の収入源を持つ働き方」であるパラレルキャリアへのシフトも可能になる。コロナ禍で医師がアルバイトでワクチン接種を行う案件が注目されたが、それと似たようなもので、例えばエンジニアが勤務先以外にも複数のクライアントを持つことで収入を倍増させるというイメージだ。