今後、この手法がより高次元の時空や他の物理現象にも応用できるのか、あるいは今回明らかになった平均化できない不変量がどのような役割を果たすのかなど、解明すべき課題は残されています。

しかしながら、「ミニ宇宙をワームホールで縫う」という発想は、量子と重力の世界をつなぐ新たな一針となり、宇宙の謎に挑む理論物理のタペストリー(綴れ織り模様)に鮮やかな彩りを添えたと言えるでしょう。

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元論文

Thermodynamics of coupled time crystals with an application to energy storage
https://doi.org/10.48550/arXiv.2411.04836

ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。

編集者

ナゾロジー 編集部