動きが早い中国の大手スタジオで人からAIへの急速な置き換えが進んでいる背景にも、創造的な1枚の絵よりも描く速さや真似る力が儲けになっていたという事実も浮かび上がってきます。

しかし仕事を奪われることは経済的な痛手だけでなく、クリエイターのメンタル面にも深刻な影響を及ぼしています。

長年培ってきたスキルや作風がAIによって容易に真似されてしまう現状に、「自分の努力と才能が無機質な機械に簡単に複製されてしまう」と感じるのは想像以上に辛いことです。

クリエイティブな仕事で生計を立てる人にとって、自分の表現の場が奪われることはアイデンティティの喪失にも繋がりかねない深刻な問題です。

収入減以上に、“描く意味”を見失いかけて心が折れる——それが生成AI時代に生きる絵師たちのリアルな悲痛と言えるでしょう。

暗い話題が続きましたが、一方でイラストレーターたちは手をこまねいているばかりではありません。

不安や怒りを抱えつつも、各々がこの逆風に立ち向かう術を模索しています。

例えば発想を転換し、AIを積極的に活用する絵師も現れ始めました。

あるイラストレーターは「AIはあくまで道具。使いこなす者が生き残る」と捉え、ラフスケッチの作成や色の試行錯誤にAI生成画像を用いて効率化を図っています。

こうすることで反復作業の時間を減らし、そのぶん人間にしかできない繊細な描き込みや独創的なアイデア出しに集中できるといいます。

また、前出のユーさんは自分自身の作風をAIに学習させてしまうことで、ある種「自分のクローン」を道具として使おうという動きもあります。

また「作家性のある作品は依然として人間にしか作れない」といった主張も見られ、コミュニティ内で賛否を交えた活発な意見交換が行われています。

さらにコミュニティー内では「AIの台頭ですべての絵師が仕事を失ったわけではない」と分析し、「この人の描く作品が欲しい」という属人的なニーズは依然健在だと指摘されました。