近年、画像生成AIの技術が飛躍的に進歩し、テキストを入力するだけで高品質なイラストを数秒で描ける時代が到来しました。
2022年頃から登場したStable DiffusionやMidjourneyといったツールは瞬く間に普及し、ゲーム業界などでは大手企業もコスト削減のため積極的に導入を進めています。
便利な半面、この急速なAIの台頭により、「イラストの仕事がAIに奪われるのではないか」という不安がクリエイターの間で大きな話題となりました。
実際、SNS上では「創造性が必要な仕事さえもAIの得意分野になってきている気がする。正直、心が折れそうです…」と将来に悩む声も早くから上がっていました。
本コラムでは、統計調査で示された数字と 現役イラストレーターの証言の両面から、生成AIが絵師の雇用に及ぼしている実態を探ります。
目次
- 1:生成AIが仕事に与えた影響
- 2:イラストレーターたちの現場の声
- 3:創造性を評価しない業界側の問題点
- 4:ダメージは落ち着くのか、それとも加速するのか
- 5:AIが人間よりも生成AIを上手く使いこなせる未来
1:生成AIが仕事に与えた影響

まず、各種調査が示す具体的な数字から、生成AIによるイラストレーターへの影響を見てみましょう。
米国:OpenAI・ペンシルベニア大の職業影響試算(2023年)
2023年3月、OpenAI社とペンシルベニア大学の研究者らが大規模言語モデル(LLM)の仕事への影響を推計しました。
この試算によると、米国労働者の約80 %が業務タスクの10 %以上で影響を受け、19 %は半数超のタスクで影響すると推計されました。
特に高学歴・高収入の職業ほど影響が大きいとされ、具体的にはライター・作家などライター系のクリエイティブ職が上位に挙げられました。
これは、生成AIがこれまで自動化が難しいと考えられていた創造的業務にも及ぶ潜在力があることを示しています