図3 世界各国の長期金利(櫻川昌哉氏)

しかし最近は日本国債の金利が正常化し、世界の債券市場に参加できるようになったので、海外のヘッジファンドが日本国債を買うようになった。今は超長期債の買い手の半分以上が海外ファンドである。彼らは短期売買なので、政府や日銀の意向とは関係なく、高いと思ったら空売りし、下がったところで買い戻す。

値下がりを止めるには黒田日銀の末期のように日銀が国債を買えばいいのだが、今のところ日銀は静観している。きのうの債券市場参加者会合でも、国債買い入れの減額(QT)は堅持する方針だった。ここでぶれて金利正常化を中止すると、かえって外資の売り材料になるからだろう。

ソフトランディングできるのか

バブルはいつか終わる。問題はそれがソフトランディングできるか、失敗して大暴落するかだけだ。バブル崩壊の引き金を引いたのは、アメリカではトランプ関税だが、日本では消費減税だった。図1でもわかるように、超長期金利が上がり始めたのは、総選挙で躍進した国民民主党が「財源なき消費税の5%減税」を打ち出した4月初めである。

参院選で与党が敗北すると、石破首相の退陣は避けられない。そのとき国民民主党が政権に入って「玉木首相」が生まれる可能性もある。もし彼が公約を実現すると赤字国債が12.5兆円発行され、今年度の新発債22兆円は1.6倍になり、国債は暴落するだろう。超長期金利の上昇は、それを予想した先行指標である。

金利上昇で消費税収は吹っ飛んでしまう