座学は成立しない!起業家に必要な学びの方法とは

——ブーストキャピタルでは、人材募集でも、その仕事に必要な能力や経験、展望を明かさずに募集をかけていますよね。
そうですね。何をやるかは言わない状態で新規事業や新会社の人材募集をかける、という方法をとっています。一見、無茶苦茶な募集方法にも見えると思いますが、実はかなりの応募が来るのです。「なんでもいいからやってみたい」「何かで人生を切り拓いてみたい」という人はかなりの割合でいます。そういった人からの応募が多いですね。私は、やりたいことが明確にあるよりも、こういった「なんとなく何かやりたい」という人のほうがマジョリティだと考えています。
——ブーストキャピタルでは、起業家志望や人材募集で集まった方々に、ファンドとしてどのように関わっているのでしょうか?
我々はVCとして起業に関わるだけではなく、起業家育成プログラムなども行っているのですが、いわゆる座学で何かをレクチャーするということはなく、家庭教師的に伴走していくスタイルをとっています。
起業というものは、それをやる人物もやる内容もそれぞれ状況が異なります。すべてを「起業」と一括して扱うことは、いわばスポーツも将棋も勉強もすべて同じカテゴリに入れてしまっているのと同じです。とてもではないですが、座学での教育は成立しません。まずは市場選び、そしてどんな会社にするのか? またはどんな会社を買収するのか? という部分から一緒に進めています。
——市場選びの段階からすでに入っているのですね。
事業が成功するか否かに、市場選びが大きく影響するためです。それに、私自身の人生から「何をやるかを自身の強い意思で選ぶこと」に、そこまで重要性は感じていません。私は最初にIT分野で起業し、楽天時代にはプロ野球球団の立ち上げにも関わりましたが、それまでIT関係の仕事をやりたい、プロ野球に関わりたいと思ったことはありませんでした。しかし、それでも十分に人生が変わったし、十分どころか十二分に楽しかったんですよね。我々と関わって事業をやろうという方が同じように感じてくれるだろう、という自信は常に持っています。