大谷を目指す前に草野球で勝てるか?起業に必要な逆算思考

本気で挑むなら、まず草野球を勝ち抜け──凡人のための逆算起業論
(画像=『Business Journal』より 引用)

——起業を目指す人の中には、そういった自分自身のアイデアに惚れ込んだり、非現実的な目標を掲げている人は少なくないのでしょうか?

 いえ、まったくそんなことはないですね。少なくともブーストキャピタルに面談に来る人の多くは、数値的な目標をすでに持っていたり、自分の会社をつくって意思決定する立場にいたいと考えていたりする人がほとんどです。ごく稀に、「起業するからにはユニコーン起業に」など、漠然とした目標を掲げてくる人もいますが、私からすると「いやいや、ユニコーンって……なめんなよ」という気持ちになることもありますね(笑)。

 もちろん、夢を大きく持つことを推奨する経営者もいますし、私もそういった大きな志を持つなとは思いません。しかし、その目標にリアリティがあるか? という部分を認識するメタ認知が足りないと、ただの妄想で終わってしまいます。たとえば、「大谷翔平選手のようになりたい」と思ったときに、地元の草野球チームですら勝てない状態で、ひらすらその目標だけ掲げ続けるのはリアリティがありません。まずは「草野球で勝つ」、それから「甲子園に出る」など、目標から逆算した段階的な成長戦略が必要です。

——小澤さんのこれまでの起業や事業も、このような戦略で行われていたように見えます。

 基本的には目標に対して最適なものを選んでいく、という逆算の方法です。一番最初の起業に関していえば、「家業の借金を返す」という目的が先にありました。その金額を稼ぐためにどんな仕事が最適か? をまず調査して起業家を選択し、自分自身の年齢とビジネス的なケイパビリティを加味した結果、参入すべき市場はITだという結論に至った結果の起業です。

「自分が今こんな能力を持っているから」「こんなことをやりたいから」という地点からの積み上げではないですね。この考え方は、M&Aに関しても同じことがいえます。最終的な設計図を見たときに、すでに存在しているコンテンツを入れ込むことが最適な場合、一からつくるのではなくM&Aという手法をとる、というイメージです。