xGは、2012年に米国・シカゴでデジタルプラットフォームを展開しているスポーツメディア企業『Stats Perform(スタッツ・パフォーム)』が導入して以来、欧州を中心に急速に普及した。元はスポーツベッティングの分野で試合結果を予測するために生まれたものだ。
現在では、スタッツ・パフォーム社が運営するスポーツ配信サービス『DAZN』でのJリーグ放送をはじめ、欧州サッカーの放送でもxGが表示され、ファンやアナリストの間で一般的な指標となっている。
例えば、J1リーグ2024シーズンのデータによると、総xGトップはサンフレッチェ広島(総得点72/J1リーグ2位)で68.7。同数値2位は川崎フロンターレ(総得点66/J1リーグ8位)の64.7となっている。

xG:見えない試合内容を可視化する
サッカーは得点が少ないスポーツであり、運や一瞬のミスも結果を大きく左右する。xGは、こうした不確実性を排除し、チームや選手のパフォーマンスを客観的に評価する。試合のスコアだけでは見えない試合内容を可視化する役割を果たしている。
xGは、チームがどれだけ「ゴールに近いチャンス」を作れたかを示すものだ。例えば、試合結果が0-0でも、チームxGが2.5対0.5なら、前者のチームが圧倒的に支配していたことを裏付ける。J1の2023シーズンでは、優勝したヴィッセル神戸や2位の横浜F・マリノスがxGでも上位にランクインし、これらのチームの攻撃力の高さがデータで裏付けられた。
また、xGは守備の評価にも使われる。「被ゴール期待値(xGA)」は相手チームが作り出したチャンスの質を示している。J1の2024シーズンは、サガン鳥栖が被xGで70.7とリーグワーストで、結果鳥栖は68もの失点を喫し、最下位20位でJ2に降格した。