ソン・フンミン(左)乾貴士(右)写真:Getty Images

サッカーは、たった1つのボールを両軍合わせて22人の選手が奪い合いゴールを目指すという単純なルールゆえに、世界で最も愛されるスポーツに育った。しかし、その魅力の一端は試合の不確実性にある。

スコアが5-4などといった乱打戦もあれば、0-0(スコアレスドロー)もある。しかしゴールの数だけでは、チームや選手のパフォーマンスを正確に評価するのは難しい。

そこで近年、サッカー分析に革命をもたらしているのが「ゴール期待値(xG=Expected Goals)」をはじめとする新たな統計指標(スタッツ)だ。ここでは、ゴール期待値を中心に、サッカー界に登場した新しいスタッツの数々とその意義について解説してみたい。


DAZN 写真:Getty Images

xG:あるシュートチャンスが得点に結びつく確率

ゴール期待値(以下xG)は、あるシュートチャンスが得点に結びつく確率を表した指標だ。この指標はシュートの「質」を定量化するために開発された。単にシュート数やゴール数を数える従来の方法とは異なり、シュートの状況を詳細に分析する。さらにこの数字は試合中でも変動していく。

考慮される要素には以下のようなものがある。これらの過去の膨大な試合データ(数万~数十万本のシュート)を基に分析され、xGを算出する。

  • シュートの位置:ゴールからの距離や角度。ペナルティエリア内からのシュートは、ハーフウェイラインからのシュートよりもxGが高い。
  • シュートの種類:ヘディング、ボレー、グラウンダーシュートなどで変動する。足でのシュートはヘディングより成功率が高いとされる。
  • パスの種類:スルーパス、クロス、こぼれ球など。スルーパスを受けた上でのシュートは、相手DFの裏をかく可能性が高く、xGが上昇する。
  • 試合状況:その時点でのスコアや残り時間も、選手のプレーに間接的に影響を与える。