戦後、日本の平和が維持されてきた要因は複数あるが、決して憲法9条だけではない。9条には象徴的な意義はあるが、それが現実の他国による日本への侵略を防ぐ力にはならない。むしろ、9条の存在が防衛体制の構築を阻み、米国に「信頼されにくい同盟国」と見なされる要因になり得る。その結果、「攻撃しやすい国」として誤認されるリスクすらある。
日本の平和が保たれてきた根本的な理由は、日米安全保障体制と米軍基地の存在、そして米国の核の傘による抑止力であることは、国際社会の共通認識だ。
しかし、この「核の傘」も決して万全ではない。日本政府は、米国による核使用の判断プロセスに一切関与できず、情報も十分に共有されていない。実質的には、米国の裁量にすべてを委ねる構造的な脆弱性がある。
この現実を直視し、国民一人ひとりが、多様な価値観に富んだより多くの情報を持ち、冷静かつ自由に議論を行うことこそが、主権国家の責任であり、未来世代への義務でもある。
現在、世界は不可逆的に多極化へと進んでいる。米国は大戦と冷戦後に築いた覇権を失い、国力も低下しつつある。内向きな姿勢を強め、「アメリカ第一主義」を掲げるトランプ氏の再登場により、同盟国に対して「自立」を求める圧力も増している。
だからこそ、日本は今こそ現実と向き合い、事実を学び、考え、行動すべき時にある。安全保障は他国任せにできない。我々自身の手で設計し、守る体制を築くべきであり、その第一歩は、タブーを恐れず自由に語り合うことにほかならない。