建築家・隈研吾氏が手掛けた「群馬県 富岡市役所」の外装木材の腐朽が指摘されている。

隈研吾氏設計の市役所 7年で劣化

富岡市役所は2018年に竣工、キャッチフレーズは

「市民と共に進化する安全安心な100年庁舎」

だった。100年どころか、7年で劣化が指摘される皮肉な事態である。映像からは、一部の木材がふやけたり、剥がれたりと、かなり痛んでいる様子がうかがえる。隈研吾建築都市設計事務所(以下、隈研吾事務所)は、施工業者とともに修繕費用を負担するとし、以下のように述べた。

「(錆びの要因となった)薬剤の物性については我々も把握しておくべきだったと思う」

富岡市庁舎の不具合は表出した不燃薬剤が原因、隈研吾事務所は修繕費負担の意向 | 日経クロステック(xTECH)

建築家側が、一定の責任を認めた形だ。隈研吾氏の木材の使い方について、疑問を呈する専門家は少なくない。だが、氏への仕事の依頼は絶えることが無い。なぜか? 氏の「地元産の木材を多用する」という特徴が、「国産木材を使わせたい」という国の思惑(=ニーズ)にマッチしているからである。以下詳しく述べる。

富岡市役所公式サイトより

「国産の木材を使わせる」というニーズ

国産木材を使ってほしい。これが国の思惑である。今後、国産木材は「供給過多」になる可能性があるからだ。

現在、日本の森林の木の多くは、樹齢40~50年。木材として利用できる大きさに育った一方、二酸化炭素をあまり吸収できなくなっている。よって伐採されることになる。