この結果、あたりまえだが憲法に定められた人権が傷つけられ、日本の民主主義が破壊された。
「人権は傷つけられていない」「民主主義も破壊されていない」「教団と信徒は罰を受けただけだ」などと公然と語る人たちがいるのは知っている。しかし相手を対等に扱わず糾弾したのだから、この問題のオピニオンリーダーとなったジャーナリストや弁護士と、番組や記事を制作した報道機関が信徒の人権を侵害し、日本の民主主義を傷つけたのは間違いない。
なお統一教会最大の被害といえる「信徒の拉致監禁と強制棄教」を軸に、教団にまつわる出来事を整理したのが下の図だ。拉致監禁と強制棄教は、高額献金やいわゆる霊感商法と呼ばれるものへの対策ではなく、伝統宗教のキリスト教と共産党との関係で発生している。高額献金やいわゆる霊感商法とされるものの実態も、報道とはだいぶ違う。
これらを踏まえて、『宗教と報道、人権問題を考える』シンポジウムで語られた内容に触れていただきたい。
富山教会で行われた公開シンポジウム
【ショートムービー】5月14日、富山市で開催された公開シンポジウムが異例だったのは、家庭連合の教会で催しが開催され、報道機関に内部が公開された点だ。これも一地域の、一教会の例ではあるものの「ありのまま」を知らせる目的だった。
パネリストは全国拉致監禁・強制改宗被害者の会代表の後藤徹氏、富山県平和大使協議会代表理事でフリージャーナリストの鴨野守氏、そして私だった。
【鴨野守氏・ショートムービー】鴨野氏は「家庭連合信徒への侮蔑的な報道被害を止めよ!」と題した講演で、シンポジウムの口火を切った。まず鴨野氏自身の取材経験を語り、第三者を批判する際の裏どりの重要性を指摘した。そのうえで、3年前の8月、地元のテレビ局から取材されたときの不可解な番組制作の体制を説明した。
テレビ局は、私のインタビューの前に、私を批判する識者3人に事前取材をしていた。そのうちの有田芳生氏と全国弁連の山口広弁護士と私は一度の面識もない。一度も会っていない人物、私の話も聞いてもいないのに平気で私を非難する手法が、良識ある有識者と言えるのか。また、そのような番組を平気で制作するメディアに、報道の良心はあるのか。家庭連合の現役信者の話に真摯に耳を傾ける必要などない。そのような社会的マナーを払うほどの価値もない人たち、団体であるという“見下し”がなければ、とてもそのような仕事はできないと思う。マスコミ関係者は宗教、信仰に対して偏見を持つことなく報道してもらいたい
鴨野氏の体験を聞いて、「テレビ局はまたやったのか」と感じる人が多いのではないか。マスコミの結論ありきの取材やインタビュー、切り取り、罠に陥れるかのような番組制作は統一教会糾弾に限らない。限らないが、あまりにもひどかった。
続いて私が壇上に立ったが、先に後藤徹氏の講演を紹介する。