すなわち、①誰かに必要とされる、②生きるよろこびは緊張を伴う真剣さから得られる、③まずは一つの役割活動から始める、④好奇心をどこに感じるかを自分で決める、⑤自己実現かコミュニケーションかを選択する、⑥夢中になれるものがあるかを問いかける、⑦自分の引き出しをたくさんもっているかを自問する、⑧家族、近隣、友人、緊急通報システムのうち、安心感を何で得るかを考えておく、⑨人生の再出発では、男は内(厨房)に、女は外(街)にからが大原則である、⑩働かない・動かない自由=新有閑階級の存在も認める。
これらの条件のうち、⑩以外では、とりあえずは高齢者に積極的な関心をもってもらい、それに好奇心が刺激される事業対象のなかに自分の役割が発見できれば、その「効用」によって生きるよろこびが強まり、安心感も得られるとした。
自助、互助、公助、商助の提唱
さらに図1では「高齢者役割」を側面援助する「バックアップシステム」を用意した。これらのうちの「自助、互助、公助」はその後政府文書でも独り歩きするようになったが、「商助」は放置されたままであった。
しかし、「要介護者」への介護保険サービスを取り上げても、介護事業所は民営の場合が多く、その際には公助というよりも費用を利用者が支払ってサービスを購入している。また、夕食宅配でも自治体が半額補助で実施しているところもあるが、民間企業が通販などを通して通常の販売を行う場合もある。それらを念頭にビジネスモデルとしての「商助」を造語したのである。
新しいコミュニティモデルの提唱
なお、連載第2回目に三角形の「コミュニティモデル」を提示したが、そのうちに三角形ではなくて四角形モデルの方が現実的ではないかと思うようになり、図2を作成した。どこが違うかと言えば、「行事(イベント)」を付加した点である。

図2 コミュニティの四角形モデル(出典)金子、1997:123
当時何回か出かけていた台湾・台北市でも日本都市でも、コミュニティ活動が盛んなところでは、祭りの準備と開催、多様な住民活動、防犯や災害時での専門家と一般住民の協力、世代間の交流、その手段としてのボランティア活動などが共通に認められた。