パネルディスカッション「AIと人間の共存」

 フォーラム後半では、牧野氏とデジライズ代表取締役社長の茶圓将裕氏によるパネルディスカッションが行われた。茶圓氏は270社以上・2万5000名以上へのAI導入支援実績を持ち、SNSでもAI業界の有力インフルエンサーとして知られる人物だ。

 はじめに「生成AIによるなりすましリスク」について議論が交わされた。茶圓氏は「SNSでの投稿に対して、すぐに20~30個のボットが反応する状況」や「自分のアカウントを装った詐欺的投稿」の具体例を挙げ、対策の必要性を強調。特にTwitter(現X)ではイーロン・マスク氏買収後もボット問題が深刻化していると指摘した。牧野氏は、電話番号認証などの従来手法ではAI時代に対応できず、「人間であることのみを証明し、他の個人情報を必要としない」World IDのアプローチが最適解だと説明した。続けて、「運転免許証を見せる際に、年齢確認だけなのに氏名や住所など全情報を見せる必要はない」という例を挙げ、ゼロ知識証明技術の価値を強調した。

 最後に「AIと人間の共存」について考察が深められた。茶圓氏はAIを「師匠」と表現し、「常にIQが高い存在に触れることで人間も賢くなる」と前向きな見方を示した。仕事効率が「5倍ほど上がっている」という実感も共有し、将来的にはロボット数が人口を上回る社会になるとの見通しを示した。牧野氏は「悪意のあるボットと有益なボットの区別」の重要性を指摘し、「AIの進化による社会的恩恵を最大化するためには、信頼基盤が不可欠」と締めくくった。

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(画像=『Business Journal』より 引用)

 生成AIやディープフェイク技術の発展により、オンライン上での「人間」と「AI」の区別が困難になりつつある中、プライバシーを守りながら「人間であること」のみを証明するWorld IDは、インターネットの信頼基盤として機能することが期待される。

 日本国内では、携帯ショップ、ファッション店舗、商店街など多様な場所でのOrb設置が進み、SNS、レビューアプリ、ゲームなどのサービスでWorld IDの活用が始まっている。今後はGUGAとの連携を通じて、生成AI教育と組み合わせた社会実装が加速することになりそうだ。

(文=秋葉けんた/ITライター)

提供元・Business Journal

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