この文脈では周囲から「やめろ」「間違っている」と否定されることで、信者たちはその反発から「自分たちは正しい」という確信を強めてしまったと考えられるのです。
このようにThe Seekersの事例は、当時は認知的不協和のみで説明されましたが、現在では社会的アイデンティティ理論、サンクコスト効果、リアクタンス理論など複数の理論を組み合わせることでより包括的に理解されています。
SNS社会ではカリスマ的インフルエンサーやアイドルをめぐるファンとアンチの対立にも同様の心理構造が見られます。

そう考えると、The Seekersの研究は、70年前にすでにネット社会における人間行動のパターンを先取りしていたと言えるかもしれません。
カルト教団への潜入調査という型破りな手法と、人間心理の根源に迫った先駆的研究。
フェスティンガーたちの『When Prophecy Fails(予言が外れるとき)』という研究は、人がなぜ「間違いを認めず信じ続けるのか」という普遍的な疑問への答えを提示しました。
間違いは誰にでも起きるものです。重要なことは早期にその間違いを認め改善点を見つけ出すことです。
しかし、間違いを認めない限り、その問題は永遠に解決されません。人が失敗を認めない心理を理解することは、問題解決を早める最も重要な知識となるでしょう。
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参考文献
When Prophecy Fails
Click to access Festinger-Riecken-Schachter-When-Prophecy-Fails-1956.pdf
https://ia802802.us.archive.org/4/items/pdfy-eDNpDzTy_dR1b0iB/Festinger-Riecken-Schachter-When-Prophecy-Fails-1956.pdf
元論文
The effect of severity of initiation on liking for a group.
https://psycnet.apa.org/doi/10.1037/h0047195
When Prophecy Fails and Faith Persists: A Theoretical Overview
https://doi.org/10.1525/nr.1999.3.1.60