この理論によれば、人は「自分がどの集団に属しているか」によって自己評価や行動を決める傾向があり、無意識のうちに周囲の人達を「内集団(ingroup、自分たちの仲間)」と「外集団(outgroup、その他の人間)」に分け、内集団に対して強い忠誠心や連帯感を持つようになります。
The Seekersでも、外部の嘲笑や否定的な報道によって「信者」対「大衆」という対立構造が強化され、信者たちの仲間意識と信仰心がむしろ強まっていたと考えられます。
また行動経済学におけるサンクコスト効果(Sunk Cost Effect)も関連すると考えられています。
これは「すでに費やした労力やお金、時間を無駄にしたくない」という心理から、状況が悪くなっても行動を変えられなくなる現象です。(この現象は、音速旅客機コンコルドの開発が典型例として紹介されるため、一般にはコンコルド効果という名で知られています)
The Seekersの信者たちも、すでに仕事や財産、家族や人間関係を犠牲にしてきたことから、「ここで信仰をやめるわけにはいかない」という心理に陥ったと考えられます。
さらに心理学の心理的リアクタンス(psychological reactance)から解釈することもできます。
これは1960年代にジャック・ブレームによって提唱されたもので、人は自分の自由や選択肢が奪われると反発するという心理的傾向を指します。
この現象は、ネット上では「カリギュラ効果」という呼び名で有名です。これは「カリギュラ」という映画が、過激な内容により公開禁止になった途端人々の関心を大きく集めてしまったという出来事からメディアが作った用語です。(カリギュラ効果は学術用語ではなく、主にコンテンツ規制に対して使われる俗称)
「心理的リアクタンス」はもっと広範な現象を扱っており、親への反抗期や、The Seekersの信者たちの行動に対しても適用されます。