フェスティンガーは大きな失敗に直面したときの人間心理として、「自分って証明たても簡単に誤りを認めず、むしろ信念強化する」という理論を考えていました。

ただ、この失敗認めない心理メカニズム科学検証するためには実際信念現実の巨大な矛盾直面した人々行動観察する「ケーススタディ」を見つける必要がありました

そのためThe Seekersは、彼にとって絶好の観察対象となったのです。

The Seekersの信者たちは、年末に世界が滅ぶという予言を信じ、仕事をやめ、財産を投げ売ってこの教団に参加していました。これは重大な人生選択の誤りです。

そのためフェスティンガーは、このカルト集団の「終末予言が外れたときに信者たちがどうするのか」を観察することで、自分の理論を証明しようと考えました。

普通に考えると、教団の唱える終末の予言が外れた場合、信者たちは騙されていたということに気づいて、教団から離反したり、反乱を起こすように思えます。

実際、そんな展開は漫画や映画では割と見かける場面です。

しかし、心理学者であるフェスティンガーは先にも述べた通り、自身の理論に従い「人は誤りが証明されても、それを認めることが出来ずに固執するだろう」という予測を立てていました。

そのため彼は一見非合理に思えるが、信者たちは予言が外れた場合、むしろ信仰心め、布教活動熱心なるだろうと考えていたのです

そしてこの観察のために、フェスティンガーたち前例ない驚きの研究計画実行に移しました。

なんとフェスティンガーの研究チームは、研究者を実際この教団に入信させ、内部から彼らを観察したのです。

そのため1人の研究者は「メキシコ老婆出会い、啓示受けた」というストーリーをでっちあげ、別の研究者は「洪水からわれる予知た」と言ってThe Seekersにコンタクトを取りました