オフィスの一角にストレッチスペースを設け、簡単な運動やリラクゼーションができる環境を整えることも効果的です。

ちょっとした仕組みを設けることで、従業員一人ひとりのパフォーマンスが向上し、離職率の逓減につながるなら、費用対効果が高い取り組みと言えるのではないでしょうか。

企業が従業員の健康を経営的な視点で管理し、戦略的に実践するこのような取り組みは「健康経営」と呼ばれ、近年注目を集めています。健康経営は、企業成長の観点からもとても効果的な取り組みといえます。

特に、腰痛や肩こり対策は、社員への義務として捉えられがちですが、経営視点で見るとむしろコストパフォーマンスの高い投資といえます。

放置すれば生産性の低下や離職率増加など損失を招きますが、対策を行えば生産性向上や企業のイメージアップといった多面的なメリットが得られます。つまり「健康管理=コスト」ではなく「健康管理=将来の利益を生み出す投資」という視点が大切です。

テレワークによる不良姿勢を改善する方法

では、社員の不良姿勢による慢性的な痛みを和らげるには、具体的にどのような運動を取り入れればいいのでしょうか? 理学療法士の視点から少し解説します。

テレワークの増加で長時間同じ姿勢を続ければ、首や肩、腰の痛みが増し、慢性化しやすくなります。 表面的なマッサージや一過性のストレッチだけでは、筋肉・筋膜・関節・神経など複合的に絡み合う根本原因にアプローチできない場合が多いです。

たとえば、姿勢不良でよく起こる“ストレートネック”の状態が続くと、首の前弯が失われるため、頭の重さが常に肩や腰へ伝わります。さらに呼吸が浅くなると横隔膜の動きが制限され、自律神経のバランスを乱しやすい要因にもなります。

そこで、横隔膜や腹横筋、多裂筋といったインナーマッスルを動かすエクササイズが効果的です。呼吸と姿勢を同時に整える“ピラティス”なども、総合的な改善をめざすには適したメソッドです。