多数の量子ビットが一斉に電池と相互作用しても、量子的なコヒーレンス(秩序ある量子状態)をどのように維持するかという問題もあります。
研究チームは、こうした課題の解決に向けて、「フォック状態の準備と維持」「フラックスパルスの高度な較正」「共振器コヒーレンスの確保」などを今後の重要テーマとして挙げています。
これらがクリアされれば、量子コンピュータ内に“小さな電池”を搭載する日がそう遠くないかもしれません。
量子計算機をより大規模・高速に発展させるために不可欠と考えられていたエネルギー供給の仕組みが、外部配線をほとんど使わずに実現できるかもしれない——。
今回の研究は、その壮大な可能性を初めて具体的に示したと言えます。
将来的には、量子コンピュータのエネルギー効率を飛躍的に高め、さらには装置の拡張性を大幅に広げる基盤技術となることが期待されています。
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元論文
Quantum Computation with Quantum Batteries
https://doi.org/10.48550/arXiv.2503.23610
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。
編集者
ナゾロジー 編集部