全然広報されてないけど戸籍はすでにデジタル化されました
日本の戸籍制度は、個人の身分関係(出生・婚姻・親子関係など)を公式に登録する日本だけの独特の制度です。2000年代後半から2010年代初頭にかけて「マイナンバー制度」の構想が進み、戸籍情報のデジタル化や他の行政情報との連携が本格的に議論され始めました。
戸籍制度デジタル化の始まり(1990年代~2000年代)
日本の戸籍は長らく紙の台帳で管理されてきましたが、1994年(平成6年)には戸籍法が改正され、戸籍事務を電子的な情報処理システムで扱うことが可能となった。 これを受けて各自治体は順次コンピュータ化を開始し、2000年代前半には多くの市区町村で戸籍データのデジタル化が実施された。例えば、茅ヶ崎市では平成18年(2006年)に戸籍を電算化し、証明書発行や記載業務の効率化・サービス向上を図ったと報告されている。
2002年(平成14年)には住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)が稼働し、全国民(日本人と在留外国人)に無作為抽出の11桁の住民票コードが付番されました。この住基ネットの整備は、後に導入されるマイナンバー制度の土台の一つともなっています。
マイナンバー制度の構想と導入(2000年代後半~2010年代半ば)
マイナンバー制度導入の経緯はこんなかんじ
2007~2008年: 年金記録漏れ問題や定額給付金で共通番号の必要性が浮上 2009年: 総選挙で与野党が番号制度導入を公約 2013年: マイナンバー法成立。社会保障・税番号制度が法制化 2015年: 個人番号の通知開始(10月) 2016年: 行政手続でマイナンバー利用開始
実は15年前から始まっていたマイナンバーと戸籍の結合
マイナンバー制度開始当初、戸籍情報そのものはマイナンバーの利用範囲に含まれていなかった。戸籍は法務省(市区町村が原本、法務省が副本を管理)で運用され、個人番号制度は当初、税・社会保障分野を中心に運用されていたため。しかし、マイナンバー法の附則では「施行後3年を目途に利用範囲の拡大を検討する」ことが明記されており、戸籍分野もその有力な候補となりました。全国知事会などからも戸籍事務へのマイナンバー活用を求める声が上がり、2019年に戸籍法とマイナンバー法の両面で制度連携のための法改正が実現したのである。