■聖なる山──地と天をつなぐ場所

 神話において“山”は単なる地形ではない。ギリシャのオリンポス山、インド・仏教のメール山、聖書のシナイ山、ペルシャ神話のアルボルズ山──いずれも、神々と人間が交信する場所、あるいは啓示が下る神聖な地として描かれている。

 初期のジッグラト(メソポタミアの階段ピラミッド)や、マヤやアステカの天体と連動したピラミッドも同様に“人工の聖なる山”であった。これらの“高所”は、実際の洪水から逃れる避難所であり、また神に近づくためのシンボルでもあった。