■天空神と火の神──空からの訪問者たち

 ギリシャのゼウス、北欧のトール、インドのインドラ、アンデスのビラコチャ、アステカのトラロック──多くの文化において、神々は“空からやってきた”存在として描かれている。彼らは雷や稲妻、火を操り、空から人々を導き、時に滅ぼした。

 この共通性は偶然ではないという説もある。彗星の接近、隕石の落下、太陽フレア、オーロラ──空に現れる自然現象は、太古の人々にとって神秘であり恐怖の対象だった。それが“天空神”という形で神話に姿を変えた可能性がある。

 特に注目されるのが「ヤンガードリアス・インパクト仮説」。約1万2800年前、地球に彗星またはその破片が衝突し、大火災と気候変動を引き起こしたというものだ。もしこれが事実なら、空の神々とは実際に“空からの災厄”に由来する存在なのかもしれない。

世界中の神話に共通する謎──洪水、空の神、聖なる山に隠された古代の記憶
(画像=イメージ画像 Created with AI image generation (OpenAI),『TOCANA』より 引用)