しかし摂氏36℃を超えるような高温では逆に発光が減少し、細胞が熱ストレスでダメージを受けた可能性が示唆されています。
また葉に傷を付けると傷口周辺での光子放出が明らかに増大し、これは植物が受傷ストレスに応答して活性酸素を発生させている可視化と考えられます。
興味深いことに、傷つけた葉に局所麻酔薬(ベンゾカイン)を塗布した場合、他のどの処理よりも際立って強い発光が観察されました。
痛みを和らげるはずの麻酔薬で光が増す理由は不明ですが、細胞膜やイオンチャネルに影響を与える可能性もあり、今後の研究課題とされています。
“生命センサー”としての可能性

本研究により、超弱いながら生物はわずかな光を発していること、そしてその光は生命活動と密接に結びついていることが改めて示されました。
生きている個体では微弱光子の放出強度が高く、死亡すると著しく低下するという現象は、いわば「生きているか否か」を示す生物の指標として機能するかもしれません。