こんにちは。

今日は過去2ヵ月にわたって連載してきた「ついに始まったアメリカ株大崩壊」の完結編をお届けします。前編、中篇はリンクのとおりです。

道化師が玉座に座ると?

道化師は玉座に座ったからと言って、帝王になれるわけではない。王宮がサーカステントに変わるだけだ。しかし、狂気の道化師に凶器を持たせっぱなしにしているのは危険だ。 トランプ大統領自身が皮肉にも「解放の日」と名付けた4月2日に発表した一方的な高率関税導入方針は、世界経済に激震を惹き起こしました。その深刻さは、次の2段組グラフ上段からも読み取っていただけるでしょう。

じつは2018年にも第1次トランプ政権下で、中国を主な標的として関税を引き上げていたのですが、今回の「相互(あるいは報復)関税」の名のもとでの懲罰的な関税政策は、想定している税率の高さでも対象国の多さでも、前回とは比較にならないほど大規模でした。

このグラフを見ると、1980年代半ばからの40年間、世界貿易政策の不確実性に関するかぎりトランプひとりが世界中を引っかき回していたも同然だとわかります。

しかも、前回アメリカで大恐慌が起きた1929年の翌年に当たる1930年に当時のフーバー大統領が慌てて署名したスムート=ホーリー関税法は、たんなる景気後退で済んでいたかもしれない経済不振を大不況にしてしまったという説もあるほど重要な経済政策上の汚点でした。

現代世界で貿易が経済全体に占める重要性は1920~30年代の約3倍ですから、今回のトランプ関税が思惑どおりに実施されれば、世界経済に及ぼす被害もまた当時よりはるかに大きくなることが懸念されます。

なお、アメリカ国内ではトランプ当選が決まった去年の11月から今年1月にかけて、明らかにご祝儀相場と見るべき株価上昇がありました。

ですが、世界各国の中央銀行は第1次トランプ政権の実績についてかなり否定的な評価をしていそうで、今回もトランプ当選が決まった頃からアメリカ株についてのスタンスを買い越しから売り越しに変えていて、高率関税導入方針を見てからは売り越し額を急増させています。