今からみると、宇宙が若かったころは、時間の流れもゆっくりだったようです。
米国のシドニー大学(USYD)で2023年に行われた研究では、宇宙が現在の10分の1ほどでの年齢のとき、時間の経過速度が現在の5分の1しかなかった(5倍遅く流れていた)ことが観測から報告されました。
観測の対象となったのはビッグバンからわずか10億年後に誕生した超大質量ブラックホール「クエーサー」から発せられる強力な光でした。
これまでの研究では、過去の時間が遅れている様子は主に超新星爆発の光によって確かめられてきましたが、この研究では遠方にあるクエーサーからの光によって、より過去ではさらに時間の流れが遅くなっていることが観測されました。
研究者たちは観測された時間の遅れを「スピードを落として映画をみているようだ」と述べています。
しかし、なぜ過去の世界は現在よりも時間が遅く流れているのでしょうか?
研究内容の詳細は2023年7月3日に『Nature Astronomy』にて掲載されました。
目次
- 初期宇宙では時間が5倍遅く流れていたことを観察で証明!
初期宇宙では時間が5倍遅く流れていたことを観察で証明!

まず最も気になる点、過去の宇宙がスローモーションに映る原因についてです。
上の動画では超新星爆発を直近で見た場合と、遥かかなたの宇宙から観測した場合を比べています。
動画でもわかるように、超新星爆発を直近でみた場合と比べて、遠い宇宙から観測したものはスローモーションがかかったようにゆっくりになっています。
「本当に見る位置がかわるだけで、こんなに時間の流れが遅くなるのか?」
と疑問に思う人もいるでしょうが、長年に渡る観測結果が事実であることを示しています。
そうなると問題は、スローモーション現象が起こる理由です。