しかし戦争による膨大なデブリ生成は、その後に続く破局に比べれば僅かなものでした。

上の図は、宇宙戦争が起きて250個の衛星が破壊された場合の「生き残った衛星数」「破壊された衛星数」「デブリの総量」を示しています。
宇宙戦争は「10年目」のラインで勃発し短期間(1年ほど)で収束したとされました。
左の「生き残った衛星数」をみると、戦争により急激に数が減ったあと、一時的に衛星数が回復している様子がみられます。
これは戦争終結に伴い、両国が失った衛星の補充をしはじめたことを示しています。
しかし奇妙なことに戦争による衛星破壊が起こっていないにもかかわらず、生き残った衛星数は戦争終結から15年以内(タイムラインの25付近)で再び減少しはじめます。
宇宙戦争が終わったにもかかわらず、そして両国が補充の衛星を打ち上げ続けているにもかかわらず、生きている衛星の数が減り、破壊された衛星数(中央のグラフ)が急激に増えていくのはなぜなのか?
その理由は、デブリによる軌道の汚染です。
宇宙戦争によって破壊された250個の衛星から発生した2550万個のデブリが地球軌道を完全に汚染してしまい、生き残った衛星も新たに打ち上げられた衛星も次々に破壊されはじめたからです。
そして新たな衛星の破壊はより多くのデブリを撒き散らし、汚染の度合いを急速に高めていきました。
宇宙戦争後、両国が失った衛星を補充し始めたことで一時的に衛星の総数は回復しますが、発生するデブリと破壊される衛星数は指数関数的に増加していくため、戦後15年あたりで衛星の総数が停滞します。