現在も食料品は8%課税されており、標準税率との差2%分だけ減税効果がありました。しかし完全非課税とすればさらに8%分の税負担が軽減されることになります。家計消費に占める食料品支出は約2割程度と推計されるため、消費税収全体への影響も無視できません。大まかな試算では、消費税収が年間約5兆円程度減少すると見込まれます(消費税収23兆円のうち食料品関連が約5兆円分)。歳入全体では約70兆円から65兆円前後に減少し、財政赤字は年間45兆円前後に拡大する計算です。これはシナリオ2(58~59兆円の歳入)より影響は小さいものの、それでもGDPの1%程度の恒久的減収に相当します。

以下にシナリオ3の推計結果を示します(前提条件は他シナリオと同様)。なお食品非課税化により消費者物価指数(CPI)は一定幅下がる(食料品は消費支出の約20%弱を占めるため、理論上は1~2%程度の物価押下げ要因)と考えられます。また低所得層ほど実質可処分所得の増加効果が大きく、消費刺激効果も期待されますが、本試算ではその二次効果は控えめに見積もっています。

| 年 | 歳入(兆円) | 歳出(兆円) | 財政赤字(兆円) | 国債残高(兆円) | インフレ率(%) | | —– | —— | —— | ——– | ——– | ——– | | 2025年 | 65.9 | 114.2 | ▲48.3 | 1,366 | 2.0 | | 2026年 | 67.3 | 116.5 | ▲49.3 | 1,416 | 2.5 | | 2027年 | 68.6 | 118.9 | ▲50.3 | 1,466 | 3.0 | | 2028年 | 70.0 | 121.2 | ▲51.3 | 1,517 | 3.5 | | 2029年 | 71.4 | 123.7 | ▲52.3 | 1,569 | 4.0 | | 2030年 | 72.8 | 126.1 | ▲53.3 | 1,623 | 4.5 | | 2031年 | 74.3 | 128.7 | ▲54.4 | 1,677 | 5.0 | | 2032年 | 75.7 | 131.2 | ▲55.5 | 1,733 | 5.0 | | 2033年 | 77.3 | 133.9 | ▲56.6 | 1,789 | 5.0 | | 2034年 | 78.8 | 136.5 | ▲57.7 | 1,847 | 5.0 | | 2035年 | 80.4 | 139.3 | ▲58.9 | 1,906 | 5.0 |