日本政府の財政は慢性的な赤字と巨額の債務を抱えており、現状でも厳しい状況にあります。2022年度の国の一般会計税収は過去最高の約71.1兆円(うち消費税収は約23.1兆円)に達し、消費税は所得税・法人税を抜いて最大の歳入源となっています
一方で歳出は毎年110兆円を超えており、2024年度当初予算でも総額112.1兆円、その約1/3(37.7兆円)が年金・医療・介護など社会保障費、約1/4(27.0兆円)が国債の利払い・償還費に充てられ、両者で歳出の58%を占める状況です。
歳入と歳出の差額は国債発行で補われており、2024年度は新規国債34.9兆円(歳入の約31%)を発行する計画です。
その結果、政府債務残高は累積で約1,350兆円(約0.135京円)に達し、GDP比263%という先進国でも突出した水準です。
このうち約43%は日銀が保有しており、国内の金融機関・年金基金等が大半を引き受けているため、対外的なデフォルトリスクは低いものの、財政の持続性には大きな不安が残ります。
直近ではインフレ率も上昇傾向にあり、2025年1月の消費者物価上昇率(生鮮食品含む総合)は前年同月比4.0%と約2年ぶりの高水準に達しました。
日銀は長年金利をゼロ近くに抑えてきましたが、インフレ率上昇を受けて2025年1月に政策金利を‐0.1%から+0.5%へ引き上げるなど、金融緩和の見直しも始まっています。
しかし依然として金利水準は低く、政府の巨額債務は低金利によって何とか維持されている状況です。
こうした中で、もし消費税を減税・廃止して歳入が大幅に減少し、その穴埋めをすべて国債発行(事実上の通貨増発)で賄い続けたら、日本財政は何年で行き詰まり、通貨への信認が崩壊する(ハイパーインフレに陥る)のでしょうか。本稿では試算開始年を2025年とし、以下の3つのシナリオについて財政指標の推移と破綻までの年数を試算します。