シーモア氏は「監視カメラがこれほど社会に浸透している現代では、その影響を公衆のメンタルヘルスの観点からも注意深く検討すべきだ」と強調します。
本人の自覚なく脳に負担がかかり注意力が削がれてしまう可能性や、常時軽いストレス状態に晒されることによる長期的な影響について、今後さらなる研究が求められています。
防犯や利便性のために導入された監視技術が、皮肉にも私たちの心の健康に見えない代償を強いているのだとしたら――私たちは「安全とプライバシー」のバランスについて、これまで以上に慎重に考える必要があるのかもしれません。
今回の研究は、絶え間ないビッグ・ブラザーの視線の下で生きる私たちの無意識の世界に光を当て、その重要性を教えてくれているのです。
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元論文
Big brother: the effects of surveillance on fundamental aspects of social vision
https://doi.org/10.1093/nc/niae039
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。
編集者
ナゾロジー 編集部