前者については予算決算及び会計令102条の4第3項、第4項にさらに定めがあり、同第99条が上記の「随意契約によることができる」、「政令で定める場合」を列挙している。

具体的にはこれらの法令の条文に当たってもらいたいが、これらの法規制の仕組みからいえることは、随意契約をするに当たって発注機関を躊躇させる二つの要因が指摘できるということである。

第一は、財務大臣との協議である。予算決算及び会計令102条の4の柱書きは、「各省各庁の長は、契約担当官等が指名競争に付し又は随意契約によろうとする場合においては、あらかじめ、財務大臣に協議しなければならない」と定め、その但し書きで「次に掲げる場合は、この限りでない。」と定めて、同条第3項、第4項の規定が展開されている。

財務大臣との協議が不要なものは、「契約の性質若しくは目的が競争を許さない場合又は緊急の必要により競争に付することができない場合において、随意契約によろうとするとき」(第3項)、そして「現に契約履行中の工事、製造又は物品の買入れに直接関連する契約を現に履行中の契約者以外の者に履行させることが不利であること」「随意契約によるときは、時価に比べて著しく有利な価格をもつて契約をすることができる見込みがあること」「買入れを必要とする物品が多量であつて、分割して買い入れなければ売惜しみその他の理由により価格を騰貴させるおそれがあること」「急速に契約をしなければ、契約をする機会を失い、又は著しく不利な価格をもつて契約をしなければならないこととなるおそれがあること」(第4項各号)が認められる場合となっている。

裏を返せば、これらの条件下以外では、財務大臣との協議が必要となる。これが高いハードルとなっている。

そして、第二が説明責任の重さである。上記の財務大臣との協議が不要な場面であっても、例えば、「競争を許さない」「緊急の必要により競争に付することができない」といった抽象的な書き振りが発注機関を悩ませる。