Q:なぜ漫画業界には漫画事務所、エージェント、組合のようなフリーのクリエイターの権利を守るものがないのでしょうか。

小沢:(前略)エージェントが普及しない原因の1つとしては、現場にお金が回っていないというのがあるかもしれません。

現場にお金が回る施策については文化庁でも検討中で、25年3月18日の文化審議会著作権分科会政策小委員会の資料3「令和6年度政策小委員会の審議の経過等について(案)」の別添資料1「DX時代におけるクリエイターへの適切な対価還元に係る これまでの議論及び今後の進め方について」が参考になる。

フリーのクリエイターの権利を守る法律として、24年11月から施行されたフリーランス法がある。フリーランスに仕事を発注する際、取引条件の明示などを義務付け、立場の弱いフリーランスを保護する法律である。

Q:日本の漫画が今後さらに発展するために政策に求めることはありますか。

小沢:漫画家が安心して漫画だけを描ける環境を整えてほしいというのは、まず大前提です。漫画の収入は原稿料と印税の大きく2つから成りますが、全体的に原稿料の底上げがあってもいいのかなとは思っています。昨年くらいからだんだん良くなってきてはいますが、そういった流れを押し上げるような政策をやっていただけると、非常にありがたいと思います。

政府はコンテンツ産業を基幹産業に位置づけようとしている。

『クールジャパン再起動』 政府、5年ぶり改定20兆円規模へ

確かにトランプ関税が世界を揺るがず中、関税障壁とも無縁なエンタメ産業は基幹産業の有力候補だが、基幹産業とするには拙稿「経団連の提言するコンテンツ省(庁)の新設が必要なこれだけの理由① ②」で提言したコンテンツ庁の新設のような抜本的な政策も必要である。