アンティークの食器から懐かしのおもちゃ、果ては国家の重要文書の写しまで、オークションの世界ではありとあらゆるものが取引されている。コレクターたちが希少な品に熱狂するのはよくある光景だが、歴史を紐解けば、私たちの想像をはるかに超える、とんでもなく奇妙なオークションが開催されてきた記録がある。今回は、そんな歴史上の驚くべきオークション事例を5つ紹介しよう。

大統領の“お下がり”? レーガンの血が出品騒動

歴史に残る奇妙なオークション5選!レーガンの血、18万匹の猫のミイラ、ローマ帝国…
(画像=撮影:マイケル・エヴァンズ / 出典:Reagan公式肖像(1981年)(画像ページ) パブリックドメイン,『TOCANA』より 引用)

 2012年5月、あるコレクターがロナルド・レーガン元大統領の血液サンプルをオークションに出品し、物議を醸した。「不敬だ」との声も上がる中、出品者は「レーガン自身も、私がこれを売ることを望んでいるはずだ」とオークションハウスに語ったというから驚きだ。

 この血液サンプルは、1981年のレーガン大統領暗殺未遂事件の際、入院先で採取されたものだった。もちろん、大統領本人や家族が売却を許可したわけではない。出品者は最初、レーガン国立図書館に購入を持ちかけたが断られ、最終的に公開オークションに出品されることになった。出品リストには「挿入されたゴム栓の先に残る、4分の1インチ(約6mm)の輪状の血液痕」といった詳細まで記載されていた。

 需要は意外にも高く、入札額は3万ドルを超えた。しかし、世論の激しい反発を受け、最終的に出品者はこのサンプルをロナルド・レーガン大統領財団に寄贈することを選んだ。「レーガン大統領の血液が一般の手に渡ることを防げた」と財団の広報担当者は安堵のコメントを発表した。まさに、レーガンの血を巡る一世一代のオークション騒動だった。