SNSで何十人もの他者の投稿をチェックせずにいられない性質は、もしかすると遺伝子に刻まれた愛着気質の現れなのかもしれません。

SNS時代の「追跡行動」とも言えるこうした行動は、従来型のストーキング(現実世界での付きまとい行為)の前段階に当たる可能性すら考えられます。

デジタル上で気軽に行われる「フォローする」という行為の背後に、私たちの知らないストーカー資質が関連しているとしたら……SNSとの付き合い方も変わってくるかもしれません。

しかしストーカー事件に関連するのはオキシトシンだけではありません。

重大なストーカー事件では愛とは真逆の殺傷事件も起きています。

3:「戦士の遺伝子」がストーカー事件を重大化させ得る

3:「戦士の遺伝子」がストーカー事件を重大化させ得る
3:「戦士の遺伝子」がストーカー事件を重大化させ得る / Credit:Canva

たとえば、好きな人に振られて物に八つ当たりしてしまった——そんな経験はないでしょうか。

実は、人が「キレやすい」かどうかにはある遺伝子が関係している可能性があります。

この遺伝子は「戦士の遺伝子」とも呼ばれ、持っている人は挑発されると攻撃的な行動が強まりやすいことが研究で示されています。

「戦士の遺伝子」の正体は、脳内で神経伝達物質を分解する酵素MAOAを作るMAOA遺伝子(特にその低活性型)です。

人によってこの酵素をたくさん作る型とあまり作らない型があり、後者(MAOA-L)では酵素が不足するため神経伝達物質が処理しきれず、興奮が鎮まりにくい状態になると考えられています。

最近の研究で、より一般的な低活性型(MAOA-L)の変異も人の怒りっぽさに影響しうることが分かってきました。

ある実験で、被験者が自分のお金を奪った相手に罰を与えられる場面を設定しました。

その結果、大半を奪われる強い挑発ではMAOA-L保持者のほうが激しく報復しましたが、わずかな挑発では遺伝子による差が見られませんでした。