京都府警ではストーカー専門のワンストップ相談センターを設置し、関係機関と連携して被害相談から加害者の再発防止措置まで切れ目なく対応するモデル事業も行われています。

こうした制度改善の動きはありますが、全国でまだ十分に機能しているとは言い難い状況です。

第四に、教育・訓練の不足も見逃せません。

前述のとおり、一部の警察官にはストーカー問題への認識不足が見られることから、研修や訓練で最新の知見を共有し、意識改革を促すことが重要です。

英国のカレッジ・オブ・ポリシングのレビューでは、警察官に対するストーキングの複雑性やダイナミクスに関する意識啓発の必要性や、各警察署にストーカー事案の専門官を配置すること、被害者支援団体との協働を強化することなどが提言されています。

裏を返せば、現状ではそうした取り組みが不十分であるからこそ被害者の満足度が低いという現実があります。

被害者が「担当の警察官が熱心で積極的に動いてくれた」「逐一進捗を教えてもらえて安心できた」と感じるケースでは満足度が高かったとの報告もあり、適切な教育を受けた警察官がいかに被害者に寄り添った対応を取れるかが鍵となります。

しかし特に日本においては、組織風土が意識改革の大きな壁になっています。

警察組織内の風土として「不祥事や問題を小さく見せようとする志向」や事なかれ主義が根強いことも否めません。

大事にしたくないあまり被害を矮小化したり、あるいは対応ミスがあっても認めたがらず隠蔽しようとする体質があると、結果として被害者の危険を後回しにしてしまいます。

桶川事件では、事件後に警察が不適切捜査を隠すため調書を改ざんするという信じ難い行為に及び、大きな批判と処分を受けました。

このように使命感を欠いた対応が繰り返されるなら、被害者は警察を信頼できず相談をためらう悪循環に陥ってしまいます。

警察には「被害者の命を守る最後の砦」としての強い責任意識が求められますが、組織の論理が優先され被害者視点が後回しになるとき、怠慢が生じる土壌となってしまうのです。

4:警察に門前払いされたと感じた場合どうするか?

4:警察に門前払いされたと感じた場合どうするか?
4:警察に門前払いされたと感じた場合どうするか? / Credit:Canva