リモートワークが普及する現代、世界中の企業に巧妙に潜り込む北朝鮮のIT工作員たち。彼らは偽りの経歴と高度な技術を駆使して職を得て、その報酬を本国のミサイル開発資金に流しているという。そんな彼らを見破る、驚くほどシンプルで、しかし効果的な「踏み絵」があるらしい。それは、採用面接でこう尋ねることだ。「金正恩(総書記)は太っていますか?」

なぜこの質問が有効なのか? 踏み絵となる最高指導者への評価

 一見、不謹慎にも聞こえるこの質問が、なぜ有効なのだろうか。それは、北朝鮮の体制下では、最高指導者である金正恩氏を批判することが、たとえ海外にいるIT工作員であっても、発覚すれば厳しい処罰に繋がりかねない重大なタブーだからだ。否定的な意見を求めるこの質問は、彼らにとって非常に答えにくい、まさに地雷なのだ。

 サイバーセキュリティ企業CrowdStrikeの幹部によると、この質問だけで北朝鮮の工作員と疑われる複数の人物が即座に面接を打ち切ったケースがあるという。暗号資産関連企業g8keepのCEO、ハリソン・レッジオ氏も、全ての面接の最後にこの質問を実践。初めて試した際は相手がパニックになり、その後レッジオ氏をSNSでブロックしたという。彼は自身に送られてくる履歴書の実に95%が、アメリカ在住者を装った北朝鮮の人物によるものだと推測している。